地下探検

我が学芸大には広大な地下通路があるという噂がある。
というのも、学芸大は戦中、旧日本軍の研究所であり、その遺構がいたるところに残っているのだ。
その一つが地下通路である。
現在は水道やガス、電気、通信ケーブルなどが通っており、それらを管理するためにまだ使われているらしい。

これらの言説を確かめるためにも、私は2人の後輩とともに、この地下通路を探検することにした。それまでに様々な情報収集も行ってきた。
水道の工事員の方に聞いてみたり、大学の公開してる文書を探してみたり、ネットで調べ、卒業生に聞いてみたり、してきたのた。
その結果
⑴大学構内には、地上の道と同じように地下道が走っていて、⑵ところどころで地上や施設の中とつながっている。⑶附属図書館から正門付近にかけて広大なスペースがある。⑷大学に浸入がばれると退学。
以上が、私の聞いた話である
また、私の所属するサークルでは、かつてコンパのあとに、地下を探検するという伝統があったらしいのだが、いまや途絶えた。
そして、本日これらの言説を確かめるのである。

あさ、3人は集まった。もちろん、汚れてもいい服装である。
そして、マンホールをあけるためのフックをAmazonで買ってあった。
大学の西側、あまり人通りがなさそうなところのマンホールを開け、そこから入る作戦である。

いや、だが、開かない。
共同溝と書かれた四角いマンホールにフックがなかなか引っかからない。使ってないため砂や土が溝に入り込んでいるからか、あるいは特殊な工具が必要なのか。
何箇所か試したがダメだったので、別ルートをとることにした。
それは、大学内に幾つかしかない、鉄製のかなり重たい格子をずらして、縦穴に入ることだ。
縦穴を降りると横穴があり、そこから地下道へつながっている。だが、ケーブルやら水道管やらで、入り口は狭い。とりあえず、僕だけが入った。そして、入りやすい入り口を見つけることにした。
地下道に一人でいるのはあまりいい気分ではなかったが、とりあえず、横に曲がると、C棟の基礎にはいった。かなり狭かったが、地を這うようにして、C棟の階段下の扉から出ることができた。
2人を呼びに行く。
そして、結局二人は鉄格子から、私はC棟からまた戻り。地下道で合流した。
そのあと、地下道を南に進み、突き当たって、自然科学棟を沿うように東へ進み、サ棟の方へ向かった。突き当たって右に曲り、グラウンドの方へ進んでいくと、道がそうようにして、二本になった。これはいったいどういうことだろうかと考えているうちに、おしゃべりの声がばれたのか、どこからか、誰かいるんじゃないの?という声が響いてきた。後ろにいた後輩がそれにかなりびびり、いきなり走り出した。それはそれでかなりうるさかったので、ばれたと思うが、仕方ないので僕も逃げた。サ棟の横の建物から出ることができた。よかった。

ものすごい汗をかいていた。暑いのもあったし、興奮したのだ。

ちなみにこれはエイプリルフールである。