ミルク時間は人生を振り返る

子どもが生まれた。

怒涛に生後一月は過ぎていった。夫婦2人で育児をフルタイムで行ったが、それでも寝不足とキツさを感じた。これをワンオペでやるなんて自殺行為に等しいと思う。

 

赤子もひと月経つと外界に慣れてきて肌の張りがでてきて筋力もついてくる。睡眠も3,4時間は寝続けることができるようになる。ようやく養育者はひと息つけるのだ。

 

ミルクをあげてるときもウトウトすることが多かったが、いまは起きてテレビを見ることもできる。ただ、だいたいはテレビはついてないし、姿勢保持のために両手が塞がっているので、考え事をしながらミルクをあげることになる。そしてたまに気づくと人生を振り返ってることがある。

 

人生を振り返るといったが、よく思い出す事柄は決まってしまっている。昔付き合っていたある女性のことが多いのだ。北海道にいたときに1年半くらい一緒にいただけだったが、とても刺激的なひとだった。おそらく出会ったことで人生が変わってるひとのひとりだ。付き合っていなければ、気球をもっとやっていたかもしれない、山登りや狩猟をしていなかったかもしれない。そんな彼女との印象的な思い出が浮かんでは消していく時間がミルクタイムになってしまっている。どうしてなんだろうか。別れ方は最悪で、苦しんだ時期も長かった。いまだに影響から逃れてないともいえる。

 

そんなことを考えているうちに赤さんはミルクを飲み切ってしまう。そうなればまた怒涛のゲップ、寝かしつけが始まり、思い出は頭から消えていく。10年後こんな感じで生きていくんだろうか。まあ、そんなもんなのだろう。不惑の年はいつ来るのか。